今も昔も変わらずどこにでもいる「クレーマー」。
その言葉だけを聞くと、自分だけはそんな人に当たりたくないと心底思うものです。
かくいう私も常にそう思っておりますが、
私自身接客のお仕事をしているのでどうしても避けられない時もあります。
そんな私において、
今回人生で面白い出来事があったので、是非皆様にご紹介させていただきたく存じます。
とあるしがない販売員
先ず、簡単に私の状況だけご紹介だけさせていただきましょう。
現在私は、先ほどもご紹介した販売員のお仕事に従事しており、
商品は「お菓子」を販売しております。
場所は百貨店で、お客様から求められる接客レベルが少し高めの環境です。
元々大学時代に販売のアルバイトを経験した流れから現在も社員として販売のお仕事を続けておりますが、本当のところは販売員以外のお仕事をやろうと思っていないのが現状です。
(いつまでこのお仕事やろうかな…)
惰性からきているのか、勇気が無くて精神的に未熟だからなのかは分かりませんが、
人生の目標も定まらず、ただただ仕事をこなすという作業を繰り返しておりました。
そんな私が特に嫌だったのがクレーム対応でした。
やはり接客業なので様々なお客様がいらっしゃるわけですが、
中には理不尽なお客様も勿論おります。
(こっちが強く言えないことを利用してこんな無茶な事を言うなんて…)
試食を出してくれない、買った後に落としてしまったから交換してほしい、
どうしてもこのセットでほしいなど、お客様の要求や不満は様々です。
そんな中、私が所属しているお店には、とある常連のお客様がいらっしゃいました。
今回は、このお客様に関するお話となります。
試食魔?
その常連のお客様はかなりの頻度で来店されるのですが、
試食だけしていくことが多々あるのです。
「今日は何があるの?」
いつもこんな調子で来店されるのですが、今回は試食を出せませんでした。
と申しますのも、いつもであれば試食を出すのですが、
コロナの関係もあってその時は試食を中止していたのです。
「すみません、実はコロナの影響もありまして、試食を中止したんですよ」
私はそう対応しましたが、「私は大丈夫だから」と試食を強請るのです。
私も謝りながら出来ないと同じ事を言うしかなかったのですが、
その内お客様も機嫌が悪くなってきたようで、
「私はそれが楽しみで来ているのに何とかならないの?」
とまで言う始末。
(開き直りかよ)
そう思いつつ早く諦めてくれないかなと、対応に困っておりました。
その時です、
「これ思っていたのと違うから返品したいんだけど!」
こんな言葉が私から少し離れた所で突然聞こえたきたのでした。
まさかの展開
この時、あまりの展開に内心笑いそうになってしまったのですが、
何と仲間の店員が別のお客様よりクレームと言うか無茶な要求を受けていたのです。
「きのう紹介してもらったんだけどさ、やっぱり思っていたのと違うかなと思ってさ。まだ開けていないし、汚していないからこのまま返品したいんだけど」
向こうからも無茶な言い分が聞こえてきますが、当然
「申し訳ございません、食品は一度店頭から離れてしまうと返品は承ることが出来ません」
と、言う話になります。
(同時にクレーマー二人…)
あまりの状況に面白いんだか、辛いんだか分からなくなったほどです。
私が対応している試食魔さんもなかなか引き下がってくれません。
しかし、暫くして向こう側ではお客様側から折れたようで、
私もその雰囲気を察して事態が収まりそうな気配を感じました。
するとここからが奇跡的な展開でした。
「あんたね、ここのってそんなに美味しくないわよ。いつまで言ったって規則は規則だからしょうがないんじゃない?」
何と、先ほどの返品を強請っていたお客様が私達の間に割って入ってきたのです。
そして何と信じられない事を言い始めたのです。
「そんなに欲しいなら、これあげましょうか?」
「お客様!?」
私は口から咄嗟にそんな言葉が出てしまいましたが、試食魔さんはにっこりと笑って、
「本当かい!?それは助かるね、あんた名前は?」
「私は、○○といいます」
「そうかい、ちょっと向こうでお茶でもしようか」
「いいですよ、今暇になっちゃったので」
「じゃあ、行こう行こう!」
と言って、その二人は去って行きました。
「…………」
周りで見ていた店員さんは大爆笑でした。
そしてやはり誰もが思ったこと、
「そんなことある!!!?」
その日、私はその事件のネタをきっかけに周りで見ていた別のお店の店員さんとも仲良くなり、一方返品対応していた従業員ともより交流を深めることが出来ました。
最後に?
以上ここまで、私の職場で起きたとあるクレーマーに関する不思議な出来事でした。
私が思ったことはずばりこうです。
(本当に人間って分からない…)
あの局面、いっぺんに変なお客様が去って行ったことは本当に奇跡でしたが、
要するに類は友を呼ぶということを如実に表していたのかもしれません。
奇想天外な事も起きるものだなと思いつつも、
同時に私の人生もまだまだ期待していいのかもしれないと思ったのでした。
diary.st著